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November 2008

11/24/2008

時代の風 失言と報道の責任 など

斎藤環さん(毎日朝刊)

(医師には)社会的常識が欠けている人が多い 発言への反応。

ネット上の医師向けの掲示板などを見る限り、医師達の怒りはとどまるところを知らないようだ。

とりわけ深刻なのは、医療の最前線を懸命に支えてきた医師達の落胆ぶり。「総理の発言で心が折れた。もう現場からは撤退します。」といった声が少なくない。

総理の発言は、とりわけ産科や救急などの困難な現場で働く医師達に、「立ち去り型サポタージュ」を促し、「医療崩壊」をいっそう推し進めることになるだろう。

今度ばかりは、撤回・謝罪ではすまない。

失言に見られる、医師の非常識、医師のモラルの低下などのイメージは、ほぼ確実にマスコミによる医療バッシングの影響下にある。政治家の失言はマスコミによるイメージ操作に忠実にしたがった結果なのだから。

目立たないところで日本の医療を支えている人達の心が折られた時、日本の医療崩壊が始まった、というのが斉藤さんの結語のようだ。

同じ舌禍を、内田さんは別の角度から批判する。こちらも当たっている。

http://blog.tatsuru.com/2008/11/20_1132.php

麻生太郎というひとはこの「非言語的シグナル」を読み当てる能力にどうやら致命的な欠陥があるようだ。
それはこの人の「言い間違え」に端的に表れている。

(途中略)

どうして、知らない言葉の意味を考えなかったかというと、「自分が知らないことは、知る価値のないことだ」というふうに推理したからである。

(途中略)

「人の話を聴かない人間」は他人の話のなかの「自分にわかるところ」だけをつまみ食いし、「自分にわからないところ」は「知る価値のないたわごと」であると切り捨てて、自分の聞き落としを合理化している。
けれども、それでは「危機的状況」は乗り越えることができない。
「危機的」というのはふつう「自分に理解できないこと」が前面にせり出してきて、それが私たちの社会の秩序を根底的に壊乱させつつあるような事態のことだからである。
危機に対処するためには、「自分に理解できないこと」を「理解する」というアクロバシーが必要である。
「自分の知らないこと」の意味を探り当てるためには、「自分の知っていること」だけを組み合わせても追いつかない。
どこかで「自分の知らないこと」の「意味がわかる」という力業が演じられければならない。
私たちは非言語的なシグナル(「意味以前」)を手探りすることで「自分には意味がわからないことの意味」に触れようとする。
政治家には荒海を進む船の船長のような資質が求められる。
それは「なんだかわからない事態」に適切に対処できる能力である。
「何がなんだかわからない事態」に遭遇したときに、「私は一貫して正しい操船をしており、何かが起きたとすれば、それは『何か』の方の責任だ」と言ってはばからない人では船長は務まらない。
私たちの政治指導者はどうやら「船長」タイプの人間ではなさそうである。

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11/23/2008

ASEAN+3財務大臣中央銀行総裁会議に常設事務局設置を検討

20081121日経朝刊(小さな記事)では、ASEAN+3財務省中央銀行総裁会議の事務レベル会合で、チェンマイイニシアティブを、すでに合意している800億ドル(これはこれまですでに締結しているものを指すのだろう)以上の規模で多国間化(マルチ化の意味か)することを来年5月の会議で最終決定することを確認した、という。

ここまでであれば、これまでの延長線上の話。

ところが、20081122日経朝刊 東アジアの金融安定 監視強化へ常設機関 ASEANと日中韓が検討 危機の再発防ぐ では、

  • 12月中旬にタイで開くASEAN+3首脳会議で、各国のマクロ経済や為替政策、金融監督体制を調査・監視するための常設機関を創設することを具体的に検討することで合意する見通し。
  • 機関にはマクロ経済や金融の専門家を集める。
  • 政策の「調査・監視(surveillance)」は、各国の経済状況や財政、為替、金融監督などの政策が適切か定期的に点検する仕組み。
  • 新機関にどの程度の権限を与えるかは今後詰めるが、問題が判明した場合、政策の見直しを求める勧告権を持たせることを検討する。現在の枠組みでも「経済レビューと政策対話(ERPD)」があるものの、各国の担当者が頻繁に代わり、中長期的な話ができない。
  • チェンマイイニシアティブの事務局のような機能を持たせ、外貨融通の発動を判断させることも検討する。
  • アジア開発銀行などの国際機関内にもうける案や、独立の機関として設立する案が浮上している。

これは、ここ4,5年かけて徐々に東アジアで民間シンクタンクレベルでも議論を進めてきた、チェンマイイニシアティブのマルチ化+常設事務局設置の検討の話。土曜日の朝刊に出たことで、いよいよここまでの話が可能になったことが想像されるが、多少なりとも関わった者としては感慨深い。世界的に再び金融危機が深刻化し、今後も米ドルの下落など不安要因が根強い中、東アジアでの地域金融協力をすすめ、地域の専門家による力のある常設事務局を機能させて、地域的な危機については早期対応を図るのは、正しい処方箋だろう。

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ASEAN+3財務大臣中央銀行そう

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