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May 2008

05/30/2008

サブプライム・ローンと金融リテラシー

米スティール財務次官のスピーチより。

日本で金融リテラシー教育と呼ばれているものの内容をもういちど見てみる必要がありそう。

私自身の授業では、金利の計算問題を出し、後取り、前取りや片端、両端の違いなどを理解させ、リターン/コストの比較を行わせている。そのきっかけは、学生達一般の計算能力が低いこともあるが、金利そのものに馴染んでいないことで危機感を覚えたためだ。こういう基本的な知識を欠いたまま社会に出た場合、どこでどんなことで誤解したりだまされたりしかねないからである。日本の消費者金融などでも、こういった金融リテラシーの向上で被害を抑えることは可能かもしれないと思う。

http://www.ustreas.gov/press/releases/hp998.htm

消費者がもっと金融関係の基礎知識をもっていれば、サブプライム・ローン危機による打撃を和らげることができたかもしれない。というのは、それによって、選択可能な損失を軽減する選択肢を理解するだけでなく、手にした借り入れの内容を理解することができたかもしれないからだ。

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05/26/2008

地方銀行での国際業務

ゼミの4年生で、地元に戻り地方銀行で国際業務を担当したい、と志望理由書に書いてしまった子がおり、電話で週末色々指導をしましたが、まだ少し面接まで時間的余裕がありそうなので、今日の国際金融の授業では急遽「地方銀行における国際業務」と題した1節を入れて解説。メガバンクとそれ以外と分けるのは乱暴だが、営業店に配属されたりすると一人5,6役をこなすことになるであろうゼミ生のことを想定しながら日曜日に資料作り。こういうあたりは、実業界出身の教員が面目を施せるところでしょうか。ほっと一息。明日は、この資料をその「地元」に宅急便で送る予定。

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05/25/2008

備忘

  • 梅雨空のような毎日。月曜日は激しい暴風雨で、早めにオフィスに行っていたから良かったが大変な一日。ずぶ濡れになったので、ついに決心して、ネットで折りたたみ傘を購入。4千円余りの値段で安くはないが、大きく、たたみやすくて運びやすく良いものが到着。
  • モバイル放送で、19日にプッチーニのグロリア・ミサを放送していたのを気に入って(WQXRの放送の一部をアットランダムに録音して通勤途上聞いている)週後半に購入。決まったものを何度も聞くのではないので、こういった出会いがあることになる。楽しみだし、頭の硬直化を避ける効用もありそう。

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05/23/2008

古河さんご退任

ニフティの社長を長く務められた古河建純さんが役員を退かれる旨の人事報道を今朝の新聞でみました。古河さんは長くニフティのブログにも記事を頻繁に載せておられ、私もよく拝見していました。会長になられてからはその頻度が落ちたような印象ですが、いよいよ退かれるとちょっと寂しく思います。色々ありがとうございました。

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05/18/2008

金融学会を傍聴(但し18日分のみ)

昨日は午前中調子を崩し臥せっていたが今日は回復し傍聴することが出来ました。ただ、今回は何の貢献もしない傍聴会員でした。以下のセッションを傍聴。

  • サブプライム問題とバーゼルⅡ
  • 電子マネーと電子記録債権

前者では、五十嵐敬喜氏、氷見野良三氏、植田和男氏がそれぞれプレゼンした後、会場よりの質問に答えるという運び。植田先生のは、期待通り内容は濃く興味深いが吸収仕切れず。氷見野氏の説明は飾らず本音で話している雰囲気。

最後に司会の佐々木百合氏のリクエストに応じて研究者への期待として3人より以下が挙げられた。

  • 時価評価をいかに考えるか。(五十嵐)
  • つい最近まで世界経済のリスクは、米国のファイナンス問題といわれたが、今回のサブプライム問題の結果、消費が縮小して経常収支赤字が減少。これをどう考えるのか。(氷見野)
  • サブプライムはこれまで貸せなかった人に貸すということで悪くはない。しかし、貸すと、今回のような問題に拡大しモラルハザードの問題(中銀が投資銀行に貸し出す)が生じる。(氷見野)
  • ヘッジファンドは危ないと言われたが、今回比較的落ち着いている。なぜか。(氷見野)
  • 金融政策と金融規制の分担如何。マクロの大きな動きで銀行監督、リスク管理だけでは対応難しい。どうすればよいか。(氷見野)
  • 時価会計について。市場の流動性が低下することで価格下落。時価が下がっても買いに入りにくい。それは時価会計が適用される主体が増加しているため。このあたりの点を含めて時価会計を見るべき。(植田)

電子マネー、電子記録債権の方は、涙をのんで途中退出しました。まとまった発表を聞くと大変参考になるとあらためて実感。発表された皆様と主催校の成城大学の皆様に感謝。

主催者の成城大学の先生方、学会のお世話役の皆様に感謝。

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05/17/2008

ジャストシステムの教職員向け販促

突然JUST SCHOOLなる雑誌が送られてきた(第29号)が、とても面白い読み物だ。小中高校の教育現場の状況にマッチした製品が提供されていることが想像出来る。職員室パックというのは、大学でも導入出来ないものだろうか。

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頭痛

早めに就寝したが、朝3時過ぎに頭痛で目が覚める。頭痛薬を飲んで寝るがすぐに解消するものでもないのでしばらくして起き出して多少仕事をする。そこそこはかどったが、結局9時過ぎから2時間休んでしまう。疲れなのか、軽い風邪だったのか不明。というわけで、仕事をしながら休息の一日となりそう。

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ウロウロ

  • 某官庁の中をウロウロ。身分証で中に入れたのは良いが、某関連シンクタンクはその中にはなく、脱出に時間がかかった。古い建物を保存しつつ高層オフィスビルを併設したところで、中ではつながっているようだが、遅い時間はセキュリティの問題で一度外に出ないと入れないようだ。
  • 飯田橋と往復。パソコンを持って移動したが、東京メトロの各駅ではHot Spotがちゃんと使えることを確認。下り、上りのスピードも速くかなり便利。地下鉄で移動するインセンティブとして働くことを実感。
  • 勤務先近くの高級介護施設に併設されたクリニックを受診。中で前の前の職場の元役員の方がご夫妻で来られているのに遭遇。ご挨拶。

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05/15/2008

地方銀行の再編、資本増強など

このところ地方銀行の再編、資本増強の報道が相次いでいるように感じる。

  • 西京銀行、資本増強へ(14日報道)。第三者割り当て増資。有価証券評価損が拡大し、減損処理で追加損失を計上する結果、自己資本比率が2.2%低下し、7.4%程度に落ち込むため、普通株の第三者割り当て増資を行う。取引先企業や生損保など約30社を見込む。(かつてライブドアとインターネット専業銀行の設立を計画したが撤回した。)
  • 荘内銀行と北都銀行が経営統合する方針を固めた。山形と秋田の地銀の統合。みずほフィナンシャルグループのお膳立てという。(14-15日報道)
  • 池田銀行と泉州銀行の統合(2008年2月報道)。池田銀行は三菱東京UFJ銀行を引受先として300億円の第三者割り当て増資を実施。
  • 足利銀行(一時国有化)を野村グループに譲渡(2008年4月)。

さて、日経の14日記事では、地銀再編の動きには、(1)メガバンクが背後で仲介役を務めたもの、(2)地方の有力地銀が地域制覇を目指す動き(2007年10月、福岡銀行を中核とするグループの傘下に熊本ファミリー銀行や親和銀行が入った。同様に、2006年10月、山口銀行ともみじHDが経営統合)、および、(3)金融当局の主導で再編が進む例(足利銀行が野村グループに譲渡)に分けているが、(1)はメガバンク仲介によるものでメガバンクのグループに緩い形で組み込まれる可能性があるもの、(2)はプチ・メガバンクを目指す日本版のスーパーリージョナルバンクを目指すもの、と言えよう。

(3)を当局主導というのはどうだろうか、むしろ当局がより市場のメカニズムを尊重して業界の垣根を越えた資本の流入を認めたもの、と説明する方が実態を良く言い表しているように思う。

当局が最終的に決定を下すから当局主導ということになると、今後、公的資金を返済した上で再編劇に登場する可能性のある、関東つくば銀行(2004年11月にいったん茨城銀行と合併を発表したが、2006円に合併を白紙撤回。)や豊和銀行の動きを客観的にとらえることはできないだろう。

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このままでは断筆?

やはり習慣にしないと書かなくなってしまいそう。

昨日は午後からだったが、最終午後8時。長引いて8時半頃まで話をしていたので、オフィスを出たのは9時少し前。さすがに月火水の3日間で相当疲れる。本日は起きられず、早朝起床の習慣が崩れる。

最近は通勤のお供はWQXRの番組を適当に録音したものをモバイル放送の受信端末で聞いている。プログラムはあるのだがそれは見ないで、適当に入れていると、思わぬものに出会うこともある。この意外性が一つの魅力。そういえば幼かりし頃は、お小遣いもほとんどもらえなかった(本は買えたが)ので、FM放送をテープにとって聞いていたが、この意外性という面では共通するところがある。意外性ゆえに、驚きもあり変化もあって飽きない。新しいもの、未知のものとの出会いもある。

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05/11/2008

備忘

しばらく書いていません。このところ、授業に加えて「学生ポートフォリオ」のメンテナンスや1年生クラスへの対応で結構毎日充実しており、ありがたいことですが、なかなか自分で自由になる時間を見つけることが出来ません。

土曜日は学内の共同研究発表会。気温低下もあってお腹をこわし遅刻。前の職場でのノリで今年はかなり自由に感想を述べてしまいましたがどう写ったことかなと一抹の不安。同時裏番組で今年度の共同研究の申請が承認される。色々技術的な面でサポートいただいた学内の関係の皆さんに感謝。

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05/06/2008

The Joint Ministerial Statement Of the 11th ASEAN+3 Finance Ministers' Meeting 4 May 2008, Madrid, Spain

まだ日本の財務省のホームページにも載っていないようなので、ここに掲載しておきます。

Introduction

1. We, the Finance Ministers of ASEAN, China, Japan and Korea (ASEAN+3), convened our eleventh meeting in Madrid, Spain, under the co-chairmanship of H.E. Vu Van Ninh, Minister of Finance of the Socialist Republic of Vietnam and H.E. Fukushiro Nukaga, Minister of Finance of Japan.

2. We exchanged views on regional economic and financial developments and policies and reviewed the progress of regional financial cooperation initiatives, including the Chiang Mai Initiative Multilateralisation, the Asian Bond Markets Initiative (ABMI) and the ASEAN+3 Research Group. We also explored ways to further enhance these initiatives.

Recent Economic and Financial Developments in the Region

3. The global economy faces a challenging period. While we remain positive about the long-term resilience of the global economy, the short-term economic prospects have weakened. Risks to the outlook come from the still unfolding events in financial markets, the potential worsening of housing and credit cycles, and inflationary pressures driven by high energy and food prices.

4. The regional economy has continued its strong growth and is forecasted to remain robust although somewhat weaker. Nonetheless, several risks remain such as further worsening of the growth prospects, vulnerability of financial markets, and continued inflationary pressures from rising oil and non-oil commodity prices. We confirmed the importance of taking appropriate actions to ensure that economic activity continues at a sustained pace by balancing policies to deal with these risks. We are also committed to accelerating and deepening structural reforms to support sustainable economic growth in the region. We highly appreciate the ADB initiatives to contribute to the stabilization of the food prices. In addition, we agreed to work closely with the ADB on regional and national initiatives to provide food security and stability of food prices for the regional economies.

5. Such recent economic developments remind us of the strong interaction between vulnerability of financial markets and the macro-economic situation. The countries in the Asian region have recorded strong growth by deepening intraregional trade of goods and services. The financial markets in Asia have become more interdependent with increasing cross-border financial transactions. In this context, we recognized the importance of continuing to enhance communication among authorities responsible for macroeconomic policies and financial supervision in the region.

Strengthening East Asian Financial Cooperation

-Chiang Mai Initiative-

6. On the Chiang Mai Initiative (CMI), we have been carrying out work on the key elements of the multilateralisation of the CMI since our last Meeting in Kyoto, following the principle agreement that a self-managed reserved pooling arrangement governed by a single contractual agreement is an appropriate form of multilateralisation. We reiterated our commitment to maintain the two core objectives of the CMI: (i) to address short-term liquidity difficulties in the region and (ii) to supplement the existing international financial arrangements. We agreed that CMI Multilateralisation will be underpinned by rigorous principles to govern its key aspects, including economic surveillance, borrowing accessibility, activation mechanism, decision making rules and lending covenants, while keeping to timely disbursement.

7. We agreed that it is indispensable to build a credible system in ASEAN+3 to monitor the economic and financial situation of the member countries. As a start, we agreed to implement measures to strengthen the current Economic Review and Policy Dialogue (ERPD), such as increasing the frequency of the dialogues and developing a standardized format for the provision of necessary information and data. Such strengthened regional surveillance system will contribute to smooth and efficient decision making. We will further explore the International Financial Institutions' (IFIs') role in providing useful information when necessary as reference.

8. We also agreed that the total size of the multilateralised CMI would be at least US$ 80 billion, and that the proportion of the amount of contribution between the ASEAN and the Plus Three countries would be "20:80". We further agreed on key concepts of the borrowing accessibility, the activation mechanism and other elements. Based on the progress made thus far on some of the key elements of the multilateralisation of the CMI, we are committed to further accelerate our work in order to reach consensus on all of the elements which include concrete conditions eligible for borrowing and contents of covenants specified in borrowing agreements.

-Asian Bond Markets Initiative-

9. Along with the effort and progress made under the ABMI since 2003, the Asian bond markets have recorded remarkable growth in terms of size and diversity of issuers. We also took note of other progress and effort under the current ABMI such as studies on new securitized debt instruments, credit guarantee and investment mechanism, the study on Asian Bond Standard and enhancing the credibility of the domestic credit rating agencies.

10. To further develop the Asian bond markets, we endorsed the New ABMI Roadmap. This New Roadmap shows our renewed strong commitment to the concrete progress of ABMI, on the occasion of its fifth anniversary.

11. First, the new ABMI Roadmap focuses on the four key areas: (1) promoting issuance of local currency-denominated bonds, (2) facilitating the demand of local currency-denominated bonds, (3) improving regulatory framework, and (4) improving related infrastructure for the bond markets. The Steering Group will be established to monitor and coordinate the activities of the four Task Forces in charge of those areas.

12. Second, we agreed to make further voluntary efforts to contribute to more accessible regional bond market development in a concerted manner. In this regard, each country will make periodic self-assessments of its progress in line with the objectives of ABMI. The reference will be introduced for this purpose.

13. Third, we recognized that the private sector plays an important role in the development of bond markets. In this regard, we welcomed the launch of a group consisting of private sector participants to discuss the cross-border bond transactions and settlement issues.

-Others-

14. On the ASEAN+3 Research Group, we appreciated the various studies made by the Research Group on relevant topics including financial integration and capital market development in the region. We endorsed three study topics for 2008/09 Research Group activities: (i) "Development of Corporate Credit Information Database and Credit Guarantee System", (ii) "The Trend of Trade, Foreign Direct Investment, and Monetary Flows in East Asia, and its Policy Implication", and (iii) "New Financial Products and their Impact on the Asian Financial Markets".

15. We also welcomed the various efforts made by the Technical Working Group on Economic and Financial Monitoring (ETWG) and the Group of Experts (GOE) to strengthen regional surveillance capacity.

Conclusion

16. We expressed our appreciation to the governments of the Socialist Republic of Vietnam and Japan for their excellent arrangements as co-chairs of the ASEAN+3 Finance Ministers¡¯ Process in 2008. We also thanked the government of Spain for its hospitality and kind cooperation.

17. We agreed to meet in Bali, Indonesia, in 2009. The Kingdom of Thailand and the Republic of Korea will be co-chairs of the ASEAN+3 Finance Ministers' Process in 2009.

ENDS

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05/05/2008

ASEAN+3の財務大臣会議ではAsean economic community blueprintについても議論?

FTの記事を見ていると、食料価格高騰問題を扱った記事Asian nations to work together on rice の最後に以下の表現があります。もう少し詳しく知りたいところ。

The ministers also discussed the Asean economic community blueprint. This is the first year that Asean countries have actions that must be achieved by certain target dates, although no sanctions have been agreed for those members that fail to meet their goals.

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第11回ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 共同声明を読んで

第11回ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 共同声明(5月4日)の方も、財務相のホームページに既に「(ポイント)」が載っている。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/as3_200504.pdf


1 ニン財務大臣(ベトナム)及び額賀財務大臣(日本)の共同議長の下、マドリードにて第11回ASEAN+3財務大臣会議を開催。
2 我々は、域内経済・金融情勢等につき意見交換。地域金融協力の進捗をレビューし、地域金融協力を更に強化するための方策につき議論。

ベトナムと日本が共同議長だったのですね。この点、末尾に以下の記述があり、次の1年はタイ、韓国が共同議長であることがわかります。今度はバリ。

16 2008年の共同議長国であるベトナム及び日本に謝意を表明。スペイン政府の協力に感謝。
17 2009年にインドネシアのバリ島において会合することに合意。タイ及び韓国が2009年の共同議長国。

最近の域内経済・金融情勢

3 世界経済は、困難な時期に直面。世界経済は長期的には強靭性を有するものの、短期的な見通しは弱まっている。先行きについてのリスクとしては、金融市場、住宅市場・信用状況、エネルギー及び食料価格の高騰によるインフレ等がある。

4 域内経済は力強い成長を維持し、域内経済の先行きについてもいく分弱まっているものの、堅固である。しかしながら、成長見通しの更なる悪化、金融市場の脆弱性、原油および一次産品価格の上昇による継続的なインフレ圧力といったリスクが存続。我々は、これらのリスクに対処する政策のバランスをとり、経済活動を安定的なペースで維持していくための措置をとることの重要性を確認。我々は、域内の持続可能な経済成長を支えるため、構造改革を加速・深化していくことにもコミット。また、我々は、域内の食糧安全保障と食糧価格安定をもたらすための地域の施策につきADBと緊密に取り組むことに合意。

食料や原油価格の高騰は深刻な問題。アジア開銀は黒田総裁が記者会見を行い、貧困層に対して食料の引換券を渡すなどの政策を実施する国に資金供給することを検討している模様(日経)との解説があります。この点、アジア開銀のプレスリリースも見ておく必要がありそう。

5 こうした最近の経済動向をみると、金融市場の脆弱性とマクロ経済状況の間に強い相互作用があることを認識。アジア域内の諸国は財・サービスの域内貿易を深化させることにより力強い成長を記録。金融市場はクロスボーダーの金融取引の増加に伴い一層相互に依存するようになっている。こうした文脈において、我々は、マクロ経済政策及び金融監督に責任を有する域内の当局間の意思疎通を引き続き強化する必要を認識。

ASEAN+3の枠組みをとりあえず対象にして、サーベイランスの重要性を、少し柔らかい言葉遣いで記述しているものと思われる。後出の7にも関係。日中韓では、これよりさらにすすんで、東アジア版の金融安定化フォーラムを開設することで合意している。この日中韓枠組みは、ASEAN+3の動きを良い意味でリードしていくかも知れない。

東アジア地域金融協力の強化
- チェンマイ・イニシアティブ(CMI)-
6 チェンマイ・イニシアティブ(CMI)について、我々は前回の京都での会議以降、一本の契約の下で各国が運用を自ら行う形で外貨準備をプールすることがマルチ化の形態として適当との基本合意に基づき、CMIマルチ化の主要な要素について検討を続けてきた。我々は、①域内の短期流動性問題への対応、②既存の国際的枠組みの補完、というCMIの2つの中核的な目的を維持することを確認。経済サーベイランス、借入限度額、発動メカニズム、意思決定ルール、貸付約款等の主要な要素に厳格な規律が適用されることにより、CMIのマルチ化はより強固なものとなることを合意。
7 ASEAN+3各国にとって、メンバー国の経済・金融情勢をモニターするための信頼できるシステムが不可欠であることに合意。第一歩として、現行の「域内経済情勢に関する政策対話」を強化するため、政策対話の頻度の増加、提供される必要な情報・データの定型化といった具体的な方策を実施していくことを合意。このように域内のサーベイランスシステムを強化することは円滑かつ効率的な意思決定に寄与。必要な時に有益な情報を提供する国際金融機関の役割について更に検討。
8 CMIマルチ化の総額については少なくとも800億ドルとすること、また、ASEAN諸国と日中韓三か国の拠出割合は20対80とすること、についても合意。さらに、借入限度額、発動メカニズム等の要素に関する基本的な考え方についても合意。CMIマルチ化についてのこれまでの進展に基づき、我々は借入適格要件、借入約款の内容等すべての要素についての合意に向けて作業を加速することにコミット。

今日の日経報道では、通貨スワップ協定を800億ドル以上とすることで合意、二国間で外貨を融通する今の仕組みを改めるとともに、融通する資金の規模を現在の実質580億ドルから大幅に拡大する、資金の融通枠の8割を日中韓が拠出し、残りをASEAN各国が出すことを決定、としています。また、「資金供給の発動条件や経済情勢などの相互監視(サーベイランス)の仕組みも議論した」と解説していますが、通貨スワップ協定を拡大するだけではなく、借入国が安易に借入に頼ることがないような歯止めについても色々検討されていることがわかります。ただ、「CMIマルチ化についてのこれまでの進展に基づき、我々は借入適格要件、借入約款の内容等すべての要素についての合意に向けて作業を加速することにコミット」とありますから、まだ乗り越えるべきハードルが残っていることもわかります。

- アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)-
9 2003年以降のABMIにおける取組に伴い、アジア債券市場はその規模、発行体の多様性という点で著しい成長を記録。また、証券化を活用した新たな債券に係る研究、信用保証及び投資メカニズムの検討、域内格付け会社の信頼性の向上等の、現行のABMIにおいて努力・進捗。
10我々は、アジア債券市場の更なる発展のためABMI新ロードマップを承認。このロードマップは、ABMI5周年に当たり、ABMIの具体的な進捗に向けた我々の新たな強いコミットメントを示すもの。
11 第一に、ロードマップは、(1)現地通貨建て債券発行の促進、(2)現地通貨建て債券の需要の促進、(3)規制枠組みの改善、及び(4)債券市場関連インフラの改善、という4つの主要分野に焦点。これらの分野を所掌する4つのタスクフォースの活動をモニターし調整するためステアリング・グループを創設。
12 第二に、我々は、よりアクセス可能な域内債券市場の育成につき協調的に貢献していくため更なる自助努力を行うことに合意。この点につき、各国は、ABMIの目標に沿って進捗状況の定期的な自己評価を実施。このために、評価基準を導入。
13 第三に、我々は、債券市場の発展に民間部門が重要な役割を果たすことを認識。この点につき、クロスボーダー債券取引及び決済上の課題を議論するため、民間部門の参加者で構成される検討グループが発足したことを歓迎。

色々新しい動きが取り込まれているようです。昨年5月のステートメントをみても、今年のステートメントを具体的に予想させるものはないので、ここはロードマップをはじめ、色々な新しい合意事項について早く必要なプレスリリースがされることを強く期待したいと思います。

日経は、なぜか「アジア債券市場保証機構創設へ」との記事を載せ、ASEAN+3があ、アジア開発銀行に2010年を目処に500-1000百万ドルの危機を設け、アジア債券市場の拡大に向けた保証機構を作ることで合意したとしています。保証機構はASEAN+3で合意したアジア債券市場の育成計画を踏まえて創設する、とし、先進国からの投資拡大には、アジア企業の信用力向上が課題の一つになっていると解説しています。

先のロードマップを読んでみたいが、この保証機構創設については様々な議論がなされてきたことが想像出来ます。ただ、先進国からの投資拡大は今や主要な目的ではなくアジア各国間のクロスボーダーの投資拡大がより重要度の高いテーマでしょう。こういうあたりは、ABMIが始まったころの状況と、グローバルな不均衡をはじめ大きく状況が変化した現在とでは、大きく状況が変化してきています。

その他

14 ASEAN+3リサーチ・グループにより行われた金融統合・域内資本市場の育成を含む様々な研究を歓迎。我々は、リサーチ・グループの来年の研究テーマとして、「企業信用情報データベース及び信用保証制度の整備」、「東アジアにおけ
る貿易・海外直接投資・資金フローの動向及びその政策的含意」及び「新たな金融商品とそのアジア金融市場への影響」を承認。
15 我々は、地域サーベイランス能力の向上に資する、「早期警戒システムに係る作業部会」や「専門家グループ」の進捗を歓迎。

引き続き色々な研究や色々な検討が進展することと、検討内容のディスクロージャーを期待したいと思います。

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第8回日中韓財務大臣会合共同メッセージ(マドリード)を読んで

すでに財務省のホームページに「第8回日中韓財務大臣会合共同メッセージ(ポイントのみ)」が載っています。去年のアジア開銀総会は京都だった。早いものでもう1年。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/200504joint_message.pdf

日本、中国、韓国の財務大臣は、2008年5月4日、スペイン・マドリードにて第8回財務大臣会合を開催。現下のマクロ経済情勢、金融情勢、地域金融協力及びその他について意見交換。

日中韓の財務大臣会合が、アジア開銀総会の前後に定期的に開催されているようですが、ステートメントもこのように毎回出されるようになってきました。色々な面で良いことだと思います。

日中韓の引き続き底堅い経済成長を歓迎。他方、世界経済のダウンサイドリスクが増すなか、世界的な景気減速を完全に免れることはできないとの見方で一致。我々は、潜在的なリスクを注意深く監視し、情報共有の強化、事務レベルでの会合拡大及び日中韓のマクロ経済・金融状況についての理解の深化を通じて、協力を推進していく必要を認識。

現在の国際金融市場の混乱は経済にとって主なリスクであり、域内における金融取引及び物・サービスの取引の双方の相互依存は強まっている。マクロ経済を担当する当局及び金融安定化を担当する関係当局間で議論を強化する必要を強く留意。我々は、この意味で日中韓の財務省、金融監督当局及び中央銀行が参加する会合をまず本年中に開催することの重要性を認識。

新聞報道では、新設される会合は「マクロ経済・金融安定化ワークショップ」と呼ばれること、アジア版FSF(金融安定化フォーラム)とも言えるもので、返事から当局同士が協調する場となる(朝日)といった解説がされている。

解説を見ると、ワークショップには3カ国の財務省、金融監督当局と中央銀行が参加し、各国の金融市場に関する情報を共有する他、証券化商品のリスク管理のあり方などを議論することを想定しており、将来的に、この枠組みを、ASEAN加盟国にも拡げたいhしている(朝日)。

ワークショップには財務省、金融監督当局の他に、中央銀行が参加することが明記されている。中央銀行が総裁レベルだけではなく、色々なレベルで積極的に参加することは、各国で中央銀行が果たしている役割や、東アジアの地域金融協力で中央銀行がこれまで果たしてきている役割や実績からいっても、重要なことだと思われます。また、そういった枠組みが日中韓から生まれることは、ASEAN+3のスワップ協定のネットワークや債券市場振興について日中韓が果たしている役割の大きさからいっても、自然であり、将来スムーズにその枠組みが発展していくことにつながるものと思われます。

「事務レベルの定期会合を開催することで合意。金融資本市場が不安定になるなか、経済全体に深刻な影響が及ばないように情報交換や分析を強化する。第一回会合は、年内に開く予定。」(日経)。

日経では、額賀財務相が提案し、中韓の財務相がこれに同意したとの説明が付いている。

さらにこのステートメントには以下の記述がある。CMIの強化というテーマでも日中韓が主導的な役割を果たしていることがこのステートメントから確認できるように思います。

ASEAN+3財務大臣プロセス下の地域金融協力の進展を議論・歓迎するとともに、日中韓の引き続き緊密な協力へのコミットメントを再確認。CMIのマルチ化の一層の前進を歓迎。CMIマルチ化のいくつかの基本的な要素について合意に達した。日中韓での議論をさらに緊密化することにより、CMIマルチ化のすべての事項について合意するべく、一層努力していくことに同意。
ASEAN+3各国の債券市場の発展を目的として、アジア債券市場イニシアティブ(ABMI)を引き続き支援することに同意。ABMIが、各国の市場改革を促進し、ASEAN+3の政策面での協力を促進することによって、最近の域内債券市場の発展に貢献したと認識。アジア債券市場の一層の発展に向けてABMIのもとでの取り組みについて一層協調を図っていくことに同意。
日中韓の協力とこの会合の成果に満足。日中韓財務大臣プロセスが、引き続き、強化された政策対話と協調のための効果的な手段としての役割を果たすとの見方で一致。

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05/01/2008

キャリアを考える (内田樹の研究室)を読んで

内田樹さんの主張には同意したいところ。あまりに就職情報産業の敷いたレールをそのまま走るのも問題。適性、適職というのは「天職」ではないが、自分で見つけるものというよりは他人に見つけてもらうものだろう。でも、学生の就職活動がうまく進むようにするには、適性・適職を見つける作業を全く無視するわけにもいかないだろう。このあたり、内田先生のいう

とはいえ、いまだ知られざるおのれの適性・適職を「予知する」方法がないわけではない(ここまでの話とぜんぜん背馳するが、私の話はだいたいそうなのである)。

というところが気になる。

リンク: キャリアを考える (内田樹の研究室).

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