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05/05/2008

第11回ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 共同声明を読んで

第11回ASEAN+3(日中韓)財務大臣会議 共同声明(5月4日)の方も、財務相のホームページに既に「(ポイント)」が載っている。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/as3_200504.pdf


1 ニン財務大臣(ベトナム)及び額賀財務大臣(日本)の共同議長の下、マドリードにて第11回ASEAN+3財務大臣会議を開催。
2 我々は、域内経済・金融情勢等につき意見交換。地域金融協力の進捗をレビューし、地域金融協力を更に強化するための方策につき議論。

ベトナムと日本が共同議長だったのですね。この点、末尾に以下の記述があり、次の1年はタイ、韓国が共同議長であることがわかります。今度はバリ。

16 2008年の共同議長国であるベトナム及び日本に謝意を表明。スペイン政府の協力に感謝。
17 2009年にインドネシアのバリ島において会合することに合意。タイ及び韓国が2009年の共同議長国。

最近の域内経済・金融情勢

3 世界経済は、困難な時期に直面。世界経済は長期的には強靭性を有するものの、短期的な見通しは弱まっている。先行きについてのリスクとしては、金融市場、住宅市場・信用状況、エネルギー及び食料価格の高騰によるインフレ等がある。

4 域内経済は力強い成長を維持し、域内経済の先行きについてもいく分弱まっているものの、堅固である。しかしながら、成長見通しの更なる悪化、金融市場の脆弱性、原油および一次産品価格の上昇による継続的なインフレ圧力といったリスクが存続。我々は、これらのリスクに対処する政策のバランスをとり、経済活動を安定的なペースで維持していくための措置をとることの重要性を確認。我々は、域内の持続可能な経済成長を支えるため、構造改革を加速・深化していくことにもコミット。また、我々は、域内の食糧安全保障と食糧価格安定をもたらすための地域の施策につきADBと緊密に取り組むことに合意。

食料や原油価格の高騰は深刻な問題。アジア開銀は黒田総裁が記者会見を行い、貧困層に対して食料の引換券を渡すなどの政策を実施する国に資金供給することを検討している模様(日経)との解説があります。この点、アジア開銀のプレスリリースも見ておく必要がありそう。

5 こうした最近の経済動向をみると、金融市場の脆弱性とマクロ経済状況の間に強い相互作用があることを認識。アジア域内の諸国は財・サービスの域内貿易を深化させることにより力強い成長を記録。金融市場はクロスボーダーの金融取引の増加に伴い一層相互に依存するようになっている。こうした文脈において、我々は、マクロ経済政策及び金融監督に責任を有する域内の当局間の意思疎通を引き続き強化する必要を認識。

ASEAN+3の枠組みをとりあえず対象にして、サーベイランスの重要性を、少し柔らかい言葉遣いで記述しているものと思われる。後出の7にも関係。日中韓では、これよりさらにすすんで、東アジア版の金融安定化フォーラムを開設することで合意している。この日中韓枠組みは、ASEAN+3の動きを良い意味でリードしていくかも知れない。

東アジア地域金融協力の強化
- チェンマイ・イニシアティブ(CMI)-
6 チェンマイ・イニシアティブ(CMI)について、我々は前回の京都での会議以降、一本の契約の下で各国が運用を自ら行う形で外貨準備をプールすることがマルチ化の形態として適当との基本合意に基づき、CMIマルチ化の主要な要素について検討を続けてきた。我々は、①域内の短期流動性問題への対応、②既存の国際的枠組みの補完、というCMIの2つの中核的な目的を維持することを確認。経済サーベイランス、借入限度額、発動メカニズム、意思決定ルール、貸付約款等の主要な要素に厳格な規律が適用されることにより、CMIのマルチ化はより強固なものとなることを合意。
7 ASEAN+3各国にとって、メンバー国の経済・金融情勢をモニターするための信頼できるシステムが不可欠であることに合意。第一歩として、現行の「域内経済情勢に関する政策対話」を強化するため、政策対話の頻度の増加、提供される必要な情報・データの定型化といった具体的な方策を実施していくことを合意。このように域内のサーベイランスシステムを強化することは円滑かつ効率的な意思決定に寄与。必要な時に有益な情報を提供する国際金融機関の役割について更に検討。
8 CMIマルチ化の総額については少なくとも800億ドルとすること、また、ASEAN諸国と日中韓三か国の拠出割合は20対80とすること、についても合意。さらに、借入限度額、発動メカニズム等の要素に関する基本的な考え方についても合意。CMIマルチ化についてのこれまでの進展に基づき、我々は借入適格要件、借入約款の内容等すべての要素についての合意に向けて作業を加速することにコミット。

今日の日経報道では、通貨スワップ協定を800億ドル以上とすることで合意、二国間で外貨を融通する今の仕組みを改めるとともに、融通する資金の規模を現在の実質580億ドルから大幅に拡大する、資金の融通枠の8割を日中韓が拠出し、残りをASEAN各国が出すことを決定、としています。また、「資金供給の発動条件や経済情勢などの相互監視(サーベイランス)の仕組みも議論した」と解説していますが、通貨スワップ協定を拡大するだけではなく、借入国が安易に借入に頼ることがないような歯止めについても色々検討されていることがわかります。ただ、「CMIマルチ化についてのこれまでの進展に基づき、我々は借入適格要件、借入約款の内容等すべての要素についての合意に向けて作業を加速することにコミット」とありますから、まだ乗り越えるべきハードルが残っていることもわかります。

- アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)-
9 2003年以降のABMIにおける取組に伴い、アジア債券市場はその規模、発行体の多様性という点で著しい成長を記録。また、証券化を活用した新たな債券に係る研究、信用保証及び投資メカニズムの検討、域内格付け会社の信頼性の向上等の、現行のABMIにおいて努力・進捗。
10我々は、アジア債券市場の更なる発展のためABMI新ロードマップを承認。このロードマップは、ABMI5周年に当たり、ABMIの具体的な進捗に向けた我々の新たな強いコミットメントを示すもの。
11 第一に、ロードマップは、(1)現地通貨建て債券発行の促進、(2)現地通貨建て債券の需要の促進、(3)規制枠組みの改善、及び(4)債券市場関連インフラの改善、という4つの主要分野に焦点。これらの分野を所掌する4つのタスクフォースの活動をモニターし調整するためステアリング・グループを創設。
12 第二に、我々は、よりアクセス可能な域内債券市場の育成につき協調的に貢献していくため更なる自助努力を行うことに合意。この点につき、各国は、ABMIの目標に沿って進捗状況の定期的な自己評価を実施。このために、評価基準を導入。
13 第三に、我々は、債券市場の発展に民間部門が重要な役割を果たすことを認識。この点につき、クロスボーダー債券取引及び決済上の課題を議論するため、民間部門の参加者で構成される検討グループが発足したことを歓迎。

色々新しい動きが取り込まれているようです。昨年5月のステートメントをみても、今年のステートメントを具体的に予想させるものはないので、ここはロードマップをはじめ、色々な新しい合意事項について早く必要なプレスリリースがされることを強く期待したいと思います。

日経は、なぜか「アジア債券市場保証機構創設へ」との記事を載せ、ASEAN+3があ、アジア開発銀行に2010年を目処に500-1000百万ドルの危機を設け、アジア債券市場の拡大に向けた保証機構を作ることで合意したとしています。保証機構はASEAN+3で合意したアジア債券市場の育成計画を踏まえて創設する、とし、先進国からの投資拡大には、アジア企業の信用力向上が課題の一つになっていると解説しています。

先のロードマップを読んでみたいが、この保証機構創設については様々な議論がなされてきたことが想像出来ます。ただ、先進国からの投資拡大は今や主要な目的ではなくアジア各国間のクロスボーダーの投資拡大がより重要度の高いテーマでしょう。こういうあたりは、ABMIが始まったころの状況と、グローバルな不均衡をはじめ大きく状況が変化した現在とでは、大きく状況が変化してきています。

その他

14 ASEAN+3リサーチ・グループにより行われた金融統合・域内資本市場の育成を含む様々な研究を歓迎。我々は、リサーチ・グループの来年の研究テーマとして、「企業信用情報データベース及び信用保証制度の整備」、「東アジアにおけ
る貿易・海外直接投資・資金フローの動向及びその政策的含意」及び「新たな金融商品とそのアジア金融市場への影響」を承認。
15 我々は、地域サーベイランス能力の向上に資する、「早期警戒システムに係る作業部会」や「専門家グループ」の進捗を歓迎。

引き続き色々な研究や色々な検討が進展することと、検討内容のディスクロージャーを期待したいと思います。

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